喘息の症状と天気
 
 
はじめに・・
 
私は、季節の変わり目になると、喘息症状が辛くなりますが、皆様は如何でしょうか?息苦しさが大分とれ、症状が改善してきた今でも、何かをキッカケに、またぶり返してしまうのではないかと不安になる時があります。そうしないようにするため、天気と喘息症状の関係を知りたくて、いろいろと調査してみました。今回は、その内容をご紹介します。
 
 
 
喘息の症状と天気の関係
 
喘息の症状と天気の関係については、さまざまな因子が複雑に影響し合っていると考えられています。過去、多くの医療関係者によって研究されてきましたが、検証条件の不一致などの理由から、結果が矛盾してしまうこともあり、未だ、科学的に実証されていないと言うのが現状です。しかしながら、病院の方の話では、台風の接近や、寒冷前線の通過に伴い、通院される喘息患者の数も増えるとの事なので、喘息の症状と天気の間に、何らかの関係がある事は間違いなさそうです。
 
 
アレルギー情報センターの気管支喘息ガイドラインによると、喘息の発作は、真夏や真冬ではなく、春、秋の季節の変わり目や、気候の不安定な時期に出やすく、梅雨や秋雨の時期、移動性高気圧や台風が近づいた時、寒冷前線の通過する時に症状が悪化しやすいとの事です。その要因は、これらによってもたらされる気温、湿度、気圧の変化や、ダニ・カビ・花粉などのアレルゲン量の変化、大気汚染物質の変化などを挙げています。では、それらを1つ1つ見て行きましょう。
 
 
1.気温について
 
アレルギー情報センターの気管支喘息ガイドラインによると、気温が前日より5℃以上変化する場合には注意が必要です。気温の急激な変化に体が対応しきれないのではないかと言われています。では、どんな時に気温が急変するのか。事例を見てみましょう。
 
 
(1)寒冷前線が通過した後
 
寒冷前線は寒気団と暖気団の境界線ですから、前線が通過すると暖気から寒気へと入れ替わり、気温を急激に低下させます。気温の変化に注意しましょう。
 
 
(2)夜空に雲がない時の翌日の朝方
 
夜空に雲がない場合、地表面の熱は宇宙に向かって、どんどん逃げて行くため(放射冷却)、気温が急激に低下します。特に、喘息発作が起こりやすい朝方に冷え込むため注意が必要です。寝室の気温が低下しすぎないように、あらかじめ暖房のタイマーをセットするなどの対策が有効です。
 
 
(3)フェーン現象
 
フェーン現象は、湿った空気が山越えをした後、乾いた熱い空気団となって吹き込む現象です。フェーン現象が起こると、気温が急変するため注意が必要です。日本では、春、夏に日本海側で多く発生しています。日本列島の南から、太平洋の湿った暖かい空気が吹き込み脊梁山脈を越えると、日本海側に乾いた熱風をもたらすと言う訳です。このような状態は、春先、日本海側に低気圧が停滞した場合や、夏、太平洋高気圧が張り出してきた時に起こります。このような気圧配置になった時には注意しましょう。また、フェーン現象は、冬の太平洋側でも発生します。シベリア高気圧からの吹き出しが強まり、列島の北より、日本海で蒸気を吸収した冷たく湿った空気が吹き込み脊梁山脈を越えると、太平洋側に乾いた冷たい風をもたらします。いわゆる「からっ風」です。ボラ現象とも呼ばれています。ここで、なぜ、冷たい風が吹くの?山脈を越えた風は暖かくなるのでは?と思われる方もいるのではないかと思いますが、これは、日本海側の空気が冷たいため、山脈を越えフェーン現象によって温度が上昇しても、もともと太平洋側にあった空気より冷たいからです。「からっ風」は気温の急激な変化だけでなく、鼻や喉の粘膜も弱らせるので加湿対策などを十分に行うようにしましょう。
 
 
2.湿度について
 
湿度は、50~60%くらいが最適です。湿度が低くすぎると、気道の粘膜が荒れ、喘息の発作が起こりやすくなります。「からっ風」の吹く冬季の太平洋側では加湿対策が重要です。逆に、湿度が60%を超えると、ダニやカビをはじめ夏風邪の原因となるウィルスも繁殖しやすくなります。梅雨の季節は、日本列島近辺に前線が停滞し、雨を降らせるだけでなく、比較的、風も弱いので湿度が高くなりやすい天候が続きます。除湿機を上手く活用したり、押入れの通気性を良くするなど、室内の除湿対策を行うとともに、布団乾燥機などを利用して、布団のダニ対策なども行うようにしましょう。
 
 
3.気圧について
 
気圧が低下すると、血管が膨張し気道粘膜からの分泌物が増えるため、喘息症状が悪化するとの説があります。また、気圧が低下すると、地中からエマナチオン(ラジウムが崩壊して生じる気体)が放出され、地上はプラスイオン優位になるため、喘息症状が悪化するとの説もあります。しかしながら、気象病関連の研究者による報告書の中には、気圧が高くなると喘息症状が悪化するとしているものや、気圧の変化は喘息症状に関係ないとするものもあり、実際の所、良く分かっていないと言うのが現状です。一方、医療現場においては、ある気圧配置になると、喘息患者の受診数が増えるのも事実で、この気圧配置をもとに、喘息予報が行われています。特に、台風が上陸する前、日本列島の南に位置し、日本列島はまだ高気圧圏内にある時や、移動性高気圧が日本海側を通過する時に、喘息発作が多くなるとされています。また、気圧の変化は、天候の他に飛行機に乗った時にも起こります。これについては、飛行機に乗る時間帯に、薬の効き目のピークがくるように飲むと言う対策が取られています。
 
 
4.ダニ・カビ・花粉アレルゲン量の変化について
 
ダニやカビは、喘息症状を悪化させます。一方、ダニやカビと比較して粒子径の大きい花粉は、下気道まで到達しないため喘息には直接関係しないと言われていますが、鼻に炎症を起こすため、口呼吸をするようになり、その結果、喘息症状を悪化させます。ですから、これらアレルゲンと接触しないようにすることが大切です。一方、アレルゲンの量は、気温や湿度により、大きく変化しますので、変化に合わせた対策を行うようにしましょう。たとえば、ダニやカビは、梅雨前線が停滞し始める6月頃より繁殖しはじめ、高温多湿な太平洋高気圧に覆われる7、8月に大繁殖します。ですから、この季節に除湿対策を徹底することが極めて重要です。ダニ抗原は、死骸も含めると10月頃にピークになると言われています。この季節は、空気が冷たくなりなりはじめることもあり、喘息発作が急増します。6~8月にダニ対策をしっかり行っておけば、10月に発作を起こすリスクを軽減することができます。また、花粉については、スギやヒノキの他にも、カモガヤ、ブタクサなどさまざまな種類があり、飛散する季節も異なります。過去、症状の悪化した季節などから、花粉を特定し、対策を行ってみては如何でしょうか。
 
 
花粉の飛散時期 (参天製薬「花粉の飛散時期」より)
 
 
 
5.大気汚染物質の変化について
 
黄砂、自動車や工場の排ガス、排ガス中の窒素酸化物が原因でおこる光化学スモッグなども喘息症状を悪化させます。黄砂は、春先、発生源となる中国内陸部の砂漠地帯が乾燥するため、偏西風に乗って、大量に日本へやってきます。春先は、特に注意が必要です。次に、光化学スモッグは、日差しが強く、風の弱い夏に多く発生します。光化学スモッグ注意報が出ている時は、屋外での運動を控えるようにして下さい。また、秋~冬にかけ、放射冷却などで地表面付近が冷えると、逆転層(通常は、上空へ行くほど気温が低くなりますが、何らかの気象条件が重なると、部分的に、上空の方が気温が高くなっている空気層ができることがあります。これを逆転層と呼んでいます。)が形成され、地表面付近に汚染物質が溜まることもあります。放射冷却の朝は、気温も急激に下がっていますので、注意しましょう。
 
 
あとがき・・
 
喘息症状と天気について書いてきましたが、いろいろと調査していて思ったことは、体調の良い時に、いざという時を想定して準備をしておくことが大切だと感じました。天気予報を利用して、過去の経験を踏まえ発作の対策をすることもそうですし、体を鍛えておくことも準備の1つです。スポーツ選手は、大会に向けて体を鍛え、体調を万全に整えます。同じように、私達も発作を起こさないように、万全の準備をして臨めば、発作のリスクを少しでも軽減できるのではないかと考えています。これから、梅雨の時期に入りますが、五月は、私にとって、比較的良い季節なので、運動をしたり、部屋や布団の掃除をしっかりして準備をしておこうと改めて思いました。
 
 
参考文献&資料 相互リンク

・TOP画像 S-Hoshino.com
・参天製薬 花粉のはなし
 ・気象と喘息の関係をさぐる 伊藤繁
・アレルギー情報センター 気管支喘息 ガイドライン

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